鷹の俳人

岩永佐保(いわながさほ)

岩永佐保(いわながさほ)

1941年6月生まれ 福岡県出身 神奈川在住
1982年 鷹入会 藤田湘子に師事    
1987年 鷹同人に推挙
1991年 第一句集『海響』上梓
1995年 鷹新葉賞(第14回)  
1998年 俳句研究賞(第13回)
2002年 鷹俳句賞(第38回)
2003年 第二句集『丹青』上梓
2012年 第三句集『迦音』上梓
2018年 『岩永佐保集』(自註現代俳句)上梓
鷹同人会長 俳人協会評議員
著書 『女性俳句の世界』(共著)

ミニ・アンケート

◆自分を動物に喩えると:キリンビールの麒麟(湘子先生の言)
◆学生時代のあだ名:ハナちゃん(旧姓は花田)
◆好きな食べもの:果物総て
◆苦手なもの:鶏

人物評 辻内京子

 佐保さんと言えば「さほ」という句会での名乗りの声が印象的。囁くような柔らかな声は控えめで品がある。一方で華奢な身体と楚々とした立ち居振る舞いからは想像できない、強靭な芯を持った男ぶりの性格の持ち主でもある。粘り強く誠実に、そして着実に仕事をこなし、決して泣き言は言わない。そんな佐保さんだから鷹に限らず俳壇での信頼も厚い。湘子先生時代から鷹の事業部や同人会役員として鷹俳句会を支え今の同人会長に至る。多くの受賞歴を持ち、鷹の内外で活躍する俳人である。
 佐保さんは食事の折、必ず「いただきます」「ごちそうさまでした」と手を合わせて小さく呟く。素の姿も慎ましやかで優しい。

自選十五句

雨聴いて春はもの問ふこころあり

かひやぐら犬の頸輪が砂にある

人憂しと寝釈迦の睡りとこしなへ

立子忌や水に触れたき水辺草

より黒きもの着て檻の前

泣いてゐる子に毬がくる菫かな

六月やさやさや翳る甕の口

山見えて涼しき二階半生過ぐ

夏星や風を敷寝の岬馬

陶枕に覚めてアジアの端の端

余り苗山襞を雲のぼりゆく

壁白く家具しろく夏痩せにけり

ペンギンの直立ながし敗戦日

いのち嬉し寒き朝の身震ひも

声にしてことばことだま草氷柱

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