鷹の俳人
梯寛(かけはしひろし)
1938年 東京生まれ福岡育ち。宗像市在住。
1968年 同僚、高校教師脇本星浪氏の紹介により、「鷹」に投句。途中休会。1982年再投句。
1986年 第一句集『玄海』
1990年 鷹同人
1993年 鷹福岡支部を立ち上げ支部長。
2008年 第二句集『海鳴』
2020年 随想集『美ら海』
2021年 宗像俳句作家協会会長(宗像市)
ミニ・アンケート
◆趣味:絵画
◆好きな映画:「禁じられた遊び」「ローマの休日」
◆カラオケでよく歌う曲:「知床旅情」(加藤登紀子)
◆好きなもの:大根、野菜、酒、焼酎
人物評 横沢哲彦
決して雄弁ではない。しかし人情に厚く、誠実な人柄だ。且つ誰に対しても公平だ。主宰の激賞句に多くの人は飛びついて真似ようとするが、寛さんは動かない。俺の俳句は俺が作るのだということだろう。句会中も穏やかに、笑顔で指導する。指導法は各会員の長所を伸ばすことを目的としている。
高校教師としてスタートし、その後「生徒のための教員」養成を手掛けてこられた。教えられる立場に配慮して教えることを考え続けてきたプロの志が、俳句にも貫かれているのだ。
句会が終われば日本酒・焼酎を中心に斗酒なお辞せずで、乱れない。興に乗れば渋い美声で、皆をうっとりさせる特技も併せ持つ。
若鷹が羽根を広げやすい学びの場が、寛さんの「鷹福岡」だ。
自選十五句
春嶺や影やはらかき操舵室
火渡の終りし闇や梅にほふ
まんさくや陶工の墓韓を向く
阿蘇谷の夕立に仔馬匂ひけり
泥中の亀の目光る沖縄忌
赤松のこゑ発しけり秋の暮
玄海の鳴ひそめたる十三夜
天の川ヘーゲル読むか酒のむか
迎火にかがめる母をかこみたる
若き日は突走りけり唐辛子
稲穂波古墳の森の明けきたる
都府楼を
地下鉄の階段長し原爆忌
向日葵を描きをり君を想ひをり
波砕く岬の岩や鳳作忌