鷹の俳人
岸孝信(きしたかのぶ)
1948年9月 兵庫県西宮市生まれ 現在滋賀県大津市在住
2000年12月 「鷹」入会 藤田湘子に師事
2001年2月 「鷹」2月号に初投句
2004年1月 「鷹」同人
2005年 「鷹」新葉賞
2012年 「鷹」俳句賞
2016年7月 第一句集『ジタン・カポラル』出版
俳人協会会員
NHK文化カルチャー京都教室講師
大津市公民館俳句講座講師
ミニ・アンケート
◆好きな食べ物:甘い物(お饅頭や洋菓子など何でもOK!)
◆長所と短所:(長所)「執念深い」と言われるほど気長なところ
(短所)「瞬間湯沸かし」と言われるほど短気なところ
◆好きな映画:新海誠「言の葉の庭」 細田守「サマーウォーズ」
リドリー・スコット「ブレードランナー」
◆苦手なもの:スギ花粉
人物評 柏倉健介
大学で長くドイツ文学を研究し、ドイツ語教師であった孝信さん…と書くと、気難しい学者を想像するだろうか。実際はその正反対。優しくユーモラスで、俳句への熱い思いを子どものように語る、大変情熱的な方である。
古語、忌日、地名等、どんなに難しい言葉でも、孝信さんは見事に調合して、鮮やかに俳句にしてしまう。子どもの頃から嗅覚が人並み以上だったという孝信さんは、比類なき言葉の調香師だ。
入会以来、主宰に俳句を「思い切りぶつけてきた」と語る孝信さん。職場を引退して、大津を拠点に数多くの句会を行い、ますます俳句三昧の日々を送っている。その人柄と俳句への情熱に導かれて、鷹の門を叩くことになる人は今後も絶えることはないだろう。
自選十五句
新墓にジタン・カポラル冬木の芽
春雷やほのぼの尖る尾骶骨
元日の夕日二階に一人見し
秀野忌や雨溜りたる金魚鉢
早春や波聴くやうに駅に立ち
聖堂の
ホテルバー青く灯せる五月忌
虹消えて音楽室のデスマスク
古本に昭和の裸婦や火取虫
雨虎子を波ぎはに生みすてぬ
鳳梨畑雨の柱が立ちにけり
灯油足して星見上げゐる聖夜かな
しら露や
絨毯に古き血の跡織田作忌