鷹の俳人
今岡直孝(いまおかなおたか)
1947年3月 徳島市生まれ 徳島市在住
1977年 鷹入会
1978年 鷹同人に推挙
鷹新人賞受賞
1985年 『現代日本俳人全集2』(合同句集 近代文藝社)出版に参加
現代俳句協会会員
ミニ・アンケート
◆好きな食べ物:麺類(スパゲッティ、マカロニを除く)
◆長所:始めたことは途中でやめない。短所:せっかち
◆自分を動物に喩えると:間違いなく犬
◆好きな映画:洋画「鉄道員」「太陽がいっぱい」「ベンハー」
邦画「駅」「七人の侍」「キクとイサム」など
◆カラオケで歌う曲:「祇園町から」「北の旅人」「別れても」など
◆苦手なもの:少年期は徒競走、並んで待つこと
人物評 山地春眠子
天草の血溜り卍組むは芥子か
女きざむ音伴天連の芥子よ
「こんな句ができました」と投句する若者がいて、この強烈な情念を「これも良し」と新人賞に選ぶ主宰がいた。当時若者は三十を、主宰は五十をそれぞれ過ぎたばかり。若者は今岡直孝、主宰は先代の藤田湘子。「鷹」の「俳句のあらゆる可能性に挑む」のモットーは、漸く現前する。
現主宰の小川軽舟もこの精神で育まれた人。掲句から約三十年後、直孝の「喪のギター鰹ぶし色島の月」を鷹集巻頭に推す。「鰹ぶし色」の措辞に、情念の描写力の洗練がある。百花繚乱の「鷹」にあって、直孝は“鷹生え抜きの個性派”として健在である。
自選十五句
かなかなは情死を視たり淡路島
ゆつたりと虻が一匹回送車
万歳のひとり秋天持ち上ぐる
黒帽子中也のやうに咳けり
若妻のひらりと跨ぐ初氷
春風にペンギン立ちの妊婦かな
喪のギター鰹ぶし色島の月
花菜風たまには手でもつながうか
兄嫁と朝の吉野家酔芙蓉
鶏の一声巫女の一声漁太鼓
天草の血溜り卍組むは芥子か
風邪の床呪文アシタハノミニユク
独酌の田中食堂冬銀河
てのひらの皮剥いて待つ桃の園
ひるがほや島の新地の女郎墓