鷹の俳人

志田千惠(しだちえ)

志田千惠(しだちえ)

1948年9月生まれ 愛媛県出身 横浜市在住
1982年 鷹入会
1986年 鷹同人
1999年 鷹新葉賞
2008年 句集『流れつつ』
2017年 鷹月光集同人
2020年 鷹俳句賞
俳人協会会員
新宿朝日カルチャー通信講座講師

ミニ・アンケート

◆好きな食べ物:ビール、餃子、シナモンロール
◆カラオケでよく歌う曲:テレサテンの「雪化粧」
◆苦手な物:蛇 落ちている紐に「ギョッ」となって、一瞬固まってしまう。
◆趣味:旅行 毎年オワフ島の最西端の静かな海で、1週間「ボーッ」と過ごして、パワーを充電している。

人物評 中野悠美子

 千惠さんの周りには、年齢、性別、地域を超えて愉快な俳人たちが集まってくる。
 旅をすれば手配を一手に引き受け、添乗員さながらの気配りでサポートしてくれる。そんな優しさと多彩な情報によって企画されたユニークな吟行が仲間を惹き付ける。ある時の川巡りクルーズで見た横浜の裏側は実に魅力的だった。そして驚くことに一つの吟行が終わる頃には既に次の企画案が浮かんでいるという。多層的に物事を見通せる人なのだ。
 選び抜いた言葉でコロナ禍を詠んで、圧倒的な評価で鷹俳句賞を受賞した千惠さん。その俳句は世界の断面をリアルに、ドラマチックに伝え続けていくのだろう。

自選十五句

鶴帰るなり 酣戦の北めざし

春暁の白き巨船が序曲なり

梅雨寒し舞鶴港も饂飩屋も

昼寝の町めく時のに沈み

閉居して蟭螟の鳴く声聞きぬ

なす神や街から人消ゆる

擂鉢に熱き煎胡麻年の宿

汗の顔認証パスに晒したる

川端の飯屋の棕梠の蝿叩

地球まだ冷めやらず蟇交むなり

早雲の地なりと蟇の面構え

海域を越え来し芥蜃気楼

沖晴れて耀う白帆湘子の忌

世は秕政なり草餅も税八分

臨津江の青き月夜を漕ぎ出でぬ

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