鷹の俳人

永島靖子(ながしまやすこ)

永島靖子(ながしまやすこ)

1931年9月生まれ 岡山県出身 東京都在住
1966年 鷹入会
1969年 鷹同人に推挙
1972年 第1回鷹評論賞
1975~1980年 鷹編集長在任
1982年 『俳句の世界』・第一句集『眞晝』上梓
1983年 同句集で第7回現代俳句女流賞受賞
1991年 第二句集『紅塵抄』上梓
1993年 『夏の光 ― 俳句の周辺』上梓
2000年 鷹俳句賞
2004年 自註句集『永島靖子集』上梓
2008年 『秋のひかりに ― 俳句の現場』上梓
2009年 第三句集『袖のあはれ』上梓
2019年 『冬の落暉を ― 俳句と日本語』上梓

ミニ・アンケート

◆好きな食べ物:好き嫌いなし 辛いものは苦手
◆好きな映画:「男はつらいよ」 ヒッチコック作品 昭和時代のフランス映画
◆苦手なもの:整理整頓 スポーツ一切
◆好きなもの:クラシック音楽 海外の推理小説

人物評 大石香代子

 靖子女史。私は心のなかでそうお呼びしている。物腰の柔らかななかに芯の強さをお持ちで、いつも背筋が真っ直ぐで年齢を感じさせない。俳句を短詩型文学のひとつとして捉え、ひろく目配りするのがなにより楽しいといった様子で、もしや、詩の言葉の数々から日々の栄養を補給しているのではと思わせる佇まいなのである。
 発行所には「鷹」のバックナンバーの他にも、連衆の刊行物が揃っているが、その多くは靖子さんの寄贈によって補完したものだ。
 清朗な理知を愛する靖子さんは、パリを中心に何度もフランスを訪れている。その魂の故郷から短詩型文学を考え随筆を紡ぐ。それらは言葉や俳句の本質に迫る評論であり、馨しい詩篇でもある。

自選十五句

桐の花嘆きは薄き紙につつむ

一枚の絹の彼方の雨の鹿

十薬の花のかたちのやまひかな

横浜や無人のぶらんこを愛す

行く夏の倉と倉との間かな

てのひらにくれなゐの塵実朝忌

一重こそよし山吹もまなぶたも

雪の日や哀しみは拳のかたち

蜘蛛の囲の向う団地の正午なり

漁港古り縄と菫と子供かな

銭亀を飼うて百夜のすさびかな

大岩を乗り出して滝凍てにけり

廃駅あり冬の落暉を見るために

花布の紅を二月の色とせり

蛍草死後もこの道通りたし

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