鷹の俳人

辻内京子(つじうちきょうこ)

辻内京子(つじうちきょうこ)

 (「辻」は一点しんにょう)

1959年7月生まれ 和歌山県出身 横浜市在住
1997年 鷹入会 藤田湘子に師事
2002年 鷹新葉賞 鷹同人
2006年 鷹星辰賞
2008年 第一句集『蝶生る』上梓
2009年 同句集で第32回俳人協会新人賞
2017年 鷹俳句賞
2019年 第二句集『遠い眺め』上梓
俳人協会幹事
新宿朝日カルチャー通信俳句講座・よみうりカルチャー自由が丘俳句講座講師

ミニ・アンケート

◆好きな食べ物:ヨーグルト オクラ   
◆苦手な食べ物:レバー
◆学生時代のあだ名:キャン
◆苦手なもの:数字

人物評 加藤静夫

 いつも笑顔の辻内さん。人見知りのボクは遠くから眺めているだけだった。それが、平成十七年七月、湘子先生との「お別れ会」(於・東京會舘)で共に司会を務めることになった。さすがに当日笑顔は控えめだったが、口跡明瞭、時折り混じる和歌山訛も紀ノ川の駘蕩とした流れを思わせ、聞く人に安心感を与えるに十分だった。
 第一句集『蝶生る』で俳人協会新人賞を受賞するのはその三年後。俳壇の寵児になってもお高くとまることなく、また同人会理事長に就任しても偉ぶることなく、以前通り柔和な笑顔で誰にでも接してくれる辻内さん。
 還暦を過ぎても若さを保っている秘訣はどうやらヨガにあるらしいが、ヨガに汗を流す姿は決してボクには見せてくれそうにない。

自選十五句

炎昼の階段掴むところなし

愛叫ぶロックや秋の金魚飢う

大切な人の掌蝶生る

毎日を生きて未来へラ・フランス

灯してわが家ちひさし春のくれ

玄関は家族にひとつ水仙花

まんじゆしやげことりと日暮来りけり

目の前を遠く眺めて春焚火

父のため作る一間やゆすらうめ

ひぐらしの森引き潮のごとく暮れ

八月やピエロは上を向いて泣く

近づけばただの石ころ冬あたたか

雨に稲架白く泛べる母郷かな

明日のこと話して逝けり夏の月

寒夕焼放心の眼になだれ込む

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