鷹の俳人
葛井早智子(くずいさちこ)
1940年 三重県生まれ 千葉県八千代市在住
1990年 鷹入会 藤田湘子に師事
1993年 鷹同人
2002年 鷹新葉賞
2004年 句集『逢神』上梓
ミニ・アンケート
◆趣味:コーラス、絵画、スポーツ観戦
◆好きな食べ物:チーズ、果物
◆苦手な食べ物:激辛のもの
◆長所:温和なところ
◆短所:運動が苦手
◆好きな映画:「風と共に去りぬ」、「戦争と平和」
◆コレクション:ふくろうグッズ
人物評 野島乃里子
早智子先輩と初めてお会いしたのは今から10数年前、五人会初参加の時でした。句会での早智子先輩はご自分の句に一切説明をなさらぬ潔さがありました。それは句に対し確たる信念をお持ちだったからだと思います。その潔さを私も見習っては見たもののついつい不要な釈明を付けて駄作を一層駄句にしてしまう始末。でも先輩はそんな句でもまず良い箇所から評して下さり決して頭ごなしに批評される事はありませんでした。きっと長い間養護教諭をなさっていらしたから、他人を尊重する心を大切にされていたのだと思います。
早智子先輩の言葉の豊富さ、格調の高さ、厳しさは皆ご自身の句の中に存在しております。
一鳥も許さず寒のオホーツク 早智子
優しさの上に厳しさがある、それが私の知る早智子先輩なのです。
自選十五句
一鳥も許さず寒のオホーツク
神近く薬喰して日向なり
日輪に眩暈や蝶が蝶を追ふ
鯉の身の出刃に吸ひつく雪解かな
暁月に声交しつゝ鶴帰る
雪渓の裂け目青炎吐きゐたり
榧に栖む鳥の目いくつ夏神楽
疫神の都邑を跋扈嘉定喰
人の死に机がひとつ秋渇
送り盆ほのかに海のあかるめり
秋の暮鴉にかあと鳴いてみる
にんげんに石くれに影広島忌
たくづのの白滝海へ秋惜しむ
竜田姫さびしき湖水燃えたたす
狐走り月は地球の影に入る