鷹の俳人
大野潤治(おおのじゅんじ)
1979年1月大阪府生まれ 横浜市在住
2017年 鷹入会
2019年 鷹同人
2020年 鷹新葉賞
俳人協会会員
ミニ・アンケート
◆趣味:読書、音楽鑑賞
◆好きな食べ物:柿、金山寺味噌
◆好きな映画:「ゴッドファーザーI・II」、「たそがれ清兵衛」
◆苦手なもの:忘年会
人物評 三輪遊
俳人大野潤治の印象を一言でいえば、ダンディであろうか。普段ニヒルな感じだが、酒席では決して乱れず、それでいて、語り口は軽妙洒脱、カラオケなどもクールにこなす。そして、いずれの場合も仄かな哀愁が漂う。
そんな彼の俳句は、人事句はもちろん、写生句でさえも、人生の苦さのようなものを感じさせる。男の業のようなものが根底にあると思うこともある。当世風ではないかもしれないが、背中で語る男の悲しみみたいなものもある。いわば、男臭い人間探求派と言ってもいいような彼の句業は、今後年齢を重ねますます格好良さを増していくに違いない。
自選十五句
飲み会を抜けて飲み屋へ春の月
風船の萎んで紺となりにけり
石鹸玉割れぬ見えざるものに触れ
ヴンと点くギターアンプや霾ぐもり
給与少なし草笛のよく鳴りぬ
金魚玉哀しき歌を淡々と
沈みゆく海月や誰も来るな来て
缶ビール空けて明日が今日になる
香水のきつい上司に代はりけり
夕立中原爆ドーム渇きをり
隙間なき朝の光や休暇明
薬莢のごとくかなぶん転げ落つ
オーボエの音に前世の秋思あり
忘年会どつと笑ひて静まりぬ
働いて働いて死ぬカキフライ