鷹の俳人
桐山太志(きりやまふとし)
1978年3月 兵庫県姫路市生まれ 奈良市在住
2013年 鷹入会、俳句を始める
2016年 鷹同人
2017年 第46回鷹新人賞受賞
2022年 第58回鷹俳句賞受賞
俳人協会会員
ミニ・アンケート
◆趣味:温泉めぐり、プロレス観戦
◆好きな食べ物:ラーメン、日本酒に合う肴
◆長所と短所:適当(両方で)
◆自分を動物に喩えると:鹿
◆好きな映画:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
◆苦手なもの:正論
人物評 砂金祐年
桐山太志は品格のある句を詠む俳人だ。俳句の骨法に悟入してからはまさに驥足を展ぶの観があり、とりわけ年二度の鷹集巻頭の快挙は人々を瞠目せしめた。その後も古典と呼ぶに相応しい句を詠み続けている。
品格と言い古典と言ったが、それは句材の古さのことでは断じてない。切通から二塁ベースに至るまでどんな句材を詠んでも共通する句位の高さ、句姿の美しさを意味するのだ。それを生む要因は、一つは彼の住む奈良という土地柄、一つは「型」への信頼、そしてもう一つはあの人懐っこい大きな眼の、働きの確かさに違いない。
40代の鷹会員によるメール句会の幹事として同年代のまとめ役でもある彼は、鷹の現在と未来の一翼を担う存在だ。
自選十五句
山焼の匂ふ華厳の闇深し
春風や二塁ベースに女の子
釣銭に吹く緑青や西東忌
紫陽花や爪先で履く女下駄
大き瞼閉づるごと暮れ夏至の海
湯上がりの跣足に旅の熱りかな
はらはらと水ふり落とし滝聳ゆ
若鮎の一閃青き熊野かな
軍鶏老いて金秋の声絞りけり
有史より先史明るき木の実かな
浮塵子飛ぶ夕映赤く濁りけり
昃りて匂ふ寒さや切通
枯園に火傷の痕を見せられき
寒鯉を分けて寒鯉すすみけり
真つさらな朝ゆきわたる雪野かな