鷹の俳人

上村慶次(うえむらけいじ)

上村慶次(うえむらけいじ)

1941年3月生まれ 福岡県出身 福岡県在住
1989年 鷹入会 藤田湘子に師事
1993年 鷹同人に推挙
2005年 藤田湘子逝去により、小川軽舟に師事
2013年 鷹新葉賞
2014年 鷹五人会賞「水(すい)の会」にて
俳人協会会員

ミニ・アンケート

◆俳句以外の趣味:プラモデル(レシプロエンジンの飛行機) 記念切手・古銭・土鈴蒐集
◆長所と短所:話が長くなってしまうこと
◆好きな映画:「カサブランカ」 「悲しみよこんにちは」 B級米映画など。「悲しみよこんにちは」は初めてガールフレンドと観にいった映画
◆カラオケでよく歌う曲:フランク永井全曲ほかムード歌謡
◆苦手なもの:鰻、泥鰌、鱧以外のニョロニョロ系生き物

人物評 布施伊夜子

 いつどこで会ってもうれしくなる顔、飛びっきりの笑顔の人である。その上、声が良い。朗々とした中に明るさがある。アドベンチャーもののナレーションにぴったりの良い声だといつも思う。そのくせ、たたずまいは至って静か。
 森鷗外に小倉時代があるように小川軽舟にも博多時代がある、そしてその稔りの時に関わったのが「鷹博多」のわれわれであるという自負を持つ。そのあたりのことはさておくとして、福岡で広告関係の仕事に携わっていた氏は、永年にわたり多くの新人を育て、鷹に送りこんできた。その一人一人の俳号には「水」の一字がつく。男性なら「青水」「碧水」であり水は下に、女性なら「水羽」「水桜」と上につく。水に親しい福岡の頼もしい水脈である。

自選十五句

フリージア妻に指環を廻す癖

まで零れ旧家の雛あかり

菅公の絵馬にハングルさくら冷

はつ夏や塗装を待てるプラモデル

航跡に初夏の雨降る朝かな

街眠りぬ夜の噴水墓標とし

納骨をいさかふ 油照

顔見世や爪美しき色事師

網タイツ干して楽屋の冬日かな

バーテンの鬢の剃り跡クリスマス

眉清し夜神楽の面いま取りて

すれ違ふをんなに湯の香除夜詣

年ゆくや闇しんしんと仕込蔵

死者の手に触るる生者のつめたき手

服薬に頼る眠りや室の花

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