鷹の俳人
川原風人(かわはらふうと)
1990年 東京都生まれ
2017年 鷹入会
2018年 鷹同人
2018年 鷹新人賞
2021年 鷹俳句賞
俳人協会会員
ミニ・アンケート
◆好きな食べ物:チキン南蛮
◆自分を動物に喩えると:大型犬
◆好きな映画:パルプ・フィクション
◆カラオケでよく歌う曲:「祭りのあと」桑田佳祐
◆苦手なもの:大怪我をした話
人物評 本多伸也
楽しい人である。話がおもしろく明るい。彼の周りには人が集まり、笑いが絶えない。天然パーマぎみの頭には人を喜ばせるアイデアが詰まっているのだろう。遊びに、飲みに、吟行に。彼の企画が楽しくなかったことはない。
そんな彼の俳句が明るく、楽しいものであるかといえば、決してそうではない。普段の印象とは異なる、力と憂いを併せ持つ作品が彼の真骨頂なのだ。酌み交わしながらその句がどこから来るのか聞いたことがある。返ってきた答えは「業」だった。人となりは分かってきたが、その「業」がどのようなものであるかはまだ掴めない。それはこれからの彼の句によって明らかになっていくのだろう。
自選十五句
箱庭の軽き女をつまみけり
ピンボール明滅街に雪降れり
噴水や記憶の母のふいに黙す
髭剃つて襟に付く血やメーデー歌
雨やみて湧き立つ揚羽変声期
夏霧の父を思へり火を見ては
暗澹と秋果の照や山月記
夕空の緘黙に降る木の実かな
影連れ立つ相談室の寒灯に
春暁のつめたき釦ひとつひとつ
漂着のごとくわれあるさくらかな
ジャニス・ジョプリン吊革握り聴く暮春
離職者が荷をまとめたる夜の秋
男あり月に縛られゐたりけり
髪からだ記憶たましひ霧となる