鷹の俳人
大西朋(おおにしとも)
1972年 大阪府生まれ。つくば市在住
2005年 朝日カルチャーセンター名古屋教室にて、宇佐美魚目に師事
2006年 晨入会
2010年 鷹入会、小川軽舟に師事
2016年 第4回星野立子新人賞受賞
2017年 第一句集『片白草』上梓
2018年 同句集で第41回俳人協会新人賞受賞
2022年 第41回鷹新葉賞受賞
鷹同人 晨同人 俳人協会幹事
ミニ・アンケート
◆自分を動物に喩えると:ねずみ
◆好きな映画:「かくも長き不在」
◆カラオケでよく歌う曲:「天空の城ラピュタ」
◆コレクションしているもの:豚の置物
◆苦手なもの:ホラー映画
人物評 折勝家鴨
年齢差を絶えず確かめなくてはならないほど童顔の朋さん。幼げな風貌に反して、俳壇での活躍は年々重さを増し、鷹俳句会でもひと際目立つ。毎月のように総合誌に登場する忙しい日々なのに畑と猫の世話も欠かさない。隣町であれば我が家の野菜も大西家の畑で賄えるのにと常々思う。
彼女とは一緒にモンゴルを旅した仲。砂漠を歩く山羊を詠み、長大な天の川を詠み、地平線から昇る朝日を詠み、存分に俳嚢を肥した。そんな旅の途中で遊牧民の祭に飛び入りし山羊の乳を搾るところをテレビ取材されたから、彼女はモンゴルのテレビにもデビューしている筈。大学で自主映画の俳優経験もある朋さん。その才能と親しみやすさで、どこでも直ぐに主役になれる人だ。
自選十五句
風邪はやりはじめの町のぬるき風
身仕度のものの五分や桃の花
蘭鋳やみづうみ見ゆる通し土間
田の上の風はつめたし蚊喰鳥
汝が置きし手袋雨の匂ひせり
片白草魚に声のなかりけり
畑のもの抜きに出てをり初筑波
江ノ電のワイパー小さし卯波見ゆ
かはほりのきゆつと縮みし眼かな
冬の蠅丸く大きく青黒く
生きてゐるうちもつめたき海鼠かな
寄居虫の組み合ひ波にさらはるる
炭に火のまはりゆく音
閉ぢ込めておけぬ智恵子よ冬の蝶
子守唄うたふにも似て林檎剝く