鷹の俳人
椎名果歩(しいなかほ)
1977年3月生まれ 千葉県出身 奈良市在住
2013年 鷹入会
2016年 鷹同人
2021年 鷹新葉賞受賞
2022年 第一句集『まなこ』上梓
俳人協会会員
ミニ・アンケート
◆俳句以外の趣味:フィギュアスケート観戦、美術展めぐり、空を見ること
◆好きな食べ物:きのこ類、ナッツ類、アイスクリーム
◆長所と短所:良くも悪くものんびりとしていること
◆コレクションしているもの:切手
◆苦手なもの:生肉、方向感覚
人物評 鈴木沙恵子
いつも物静かで、熟考しながらゆっくりと話す果歩さん。独特の時間を纏う雰囲気は美しい鉱物のような人と思う。
話せば優しい笑顔を向けてくれるが、校正者として実直に言葉に向き合う姿はまさに職人。中央例会関西では披講や代返を冷静にこなす姿が頼もしい。しかしそんな印象を覆す、句のユニークな言葉選びに驚かされる。
シュッとした俳号の由来を聞いても、本当はちょっと変わった面白い事が好きな人なのではないだろうか。(推しである桂歌丸さんの本名が椎名さん)
外からは見えない鉱物の中心は、もしかしたら溶岩のように真っ赤で柔らかいものが渦巻いたり、海底のように鋭く深い青色の時もあるかもしれない。そこにある“まなこ”から生み出される果歩節がこれからも楽しみでならない。
自選十五句
ろんろんと流しにはねる春の水
田楽をひよつとこ口に熱がりぬ
地下道に響く舌打ち万愚節
畳目を走るビー玉春障子
白日傘さらさら巻いて今日忘る
水着着てマネキン沖を見るごとし
大暑なり溜池の水
水無月や靴屋にゴムの匂ひ満ち
カーテンを嚙む窓八月十五日
貸車庫のいろはにほへと都鳥
壁といふ壁にロッカー駅凍つる
リモコンにボタン集まるお元日
冬の日や外して大き掛け時計
眩しさに目玉引つ込む深雪晴
ティーバッグ深く沈めて冬ぬくし