鷹の俳人
筒井龍尾(つついたつお)
1948年11月生まれ 東京出身 つくば市在住
1993年 俳句開始 鷹入会
1999年 同人推挙
2009年 鷹新葉賞
2013年 句集『夏の木』上梓
俳人協会会員
ミニ・アンケート
◆趣味:山歩き、ジョギング
◆好きな食べ物:コーヒー
◆長所と短所:粘り強い <<>> いつまでも同じことをやっている
◆自分を動物に喩えると:キリン
◆好きな映画:「2001年宇宙の旅」、「ブレード・ランナー」、「インセプション」
◆好きな本:開高健のノンフィクション、『初秋』ロバートBパーカー、『指輪物語』JRRトールキン
◆苦手なもの:猛暑高湿 艱難辛苦 集団行動
人物評 加茂樹
懇親会から乗り換え駅まで龍尾さんとご一緒したことがある。「Woops!」と山手線の中で言うひとを初めて見た。2013年頃のことである。龍尾さんは陽気に酔っぱらっていて、ゆらゆらと乗り換え改札の向こうに消えていった。あのときの長身のゆらゆら加減は、確かにキリンを思わせる。
わたしが研修医時代に会った心臓外科医たちは「肉食」感があったが、龍尾さんは人物からも、句柄からも荒々しさは感じない。むしろ句柄からは静謐でときに抑うつ的な空間の広がりを感じる。
原子炉の建屋高きに蝉当たる
2011年以降を生きる私たちに、原子炉は特別な意味をもつ建造物になった。龍尾さんはよく高いところを見ている。そしてこの句の原子炉もまた静謐の中に立っている。
自選十五句
銀漢や落石とほく眠りけむ
団栗やわれら海来しものの裔
新しき辞書寒林のにほひせり
夕立や貝殻のごと都市古りぬ
行列の折畳まれし大暑かな
天心に始まる宇宙野紺菊
流星や国捨つる渡河脛濡らし
羽蟻の夜家族の貌にテレビ照り
原子炉の建屋高きに蝉当たる
日本にはたらきに来し花火かな
仰ぎたるビルへ歩みぬ新社員
電線に全戸繋がる暑さかな
鵺の夜や樹間を耳の疾走す
栗の花単車爆走おれおれおれ
冬怒濤空電のなか島応ふ