鷹の俳人

喜納とし子(きのうとしこ)

喜納とし子(きのうとしこ)

1940年3月生れ 和歌山市出身 東京都在住
1987年 鷹入会
1992年 鷹同人
1994年 第13回新葉賞受賞
1999年 句集『うちむらさき』上梓
2016年 第10回五人会賞「二の橋」にて受賞
俳人協会会員

ミニ・アンケート

◆趣味:水泳(30年近く継続)
◆好きな食べ物:お酒  
◆長所と短所:思い切りのよい所が長所であり、時には短所になる
◆好きな映画:「男と女」
◆苦手な物:虫(特に毛虫)

人物評 上田鷲也

 喜納さんと知り合ったのはぼくが鷹に入会して数年後、関口芭蕉庵での月例句会に初参加したときのことだった。その年の十二月の句会の後は忘年会となり、喜納さん用意の手料理が振る舞われた。これがびっくりするほど美味だった。味のみならず見た目も完璧。いわゆる「手料理」の域をはるかに超えていた。また、ぼくのかみさんにエプロンを作ってくれたのだが、それも商品にできるレベルだった。聞けば料理も裁縫も教室を開いていたというのだから宜なるかなである。
 性格は天真爛漫。作品は天衣無縫。俳句もお酒もあくまで自然体で楽しむ。「遊びをせんとや生まれけむ」を地でゆく喜納さんの魅力にぼくはずっと酔っている。

自選十五句

雪はげし魚影のやうに家居して

銀紙のうらも銀紙クリスマス

国東は石育つ国こぶし咲く

虹立つやどこへも行かぬ氷川丸

郭公やサラダのやうな朝がくる

夫は知らずわが胸中をとぶ蛍

アンケートいろはに釣瓶落しかな

酒の名は立山さくら咲きにけり

時間みな吾のものなり釣忍

行く秋や夫の遺品に子の名刺

夜が来る夫なき吾に蘭鋳に 

切岸にしぶく頻浪青鷹

義士の日の蕎麦屋の角を曲りけり

風船を離して寡婦となりにけり

牡蠣フライさくつとさくら少し先 

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