鷹の俳人

山岸文明(やまぎしぶんめい)

山岸文明(やまぎしぶんめい)

1943年12月生まれ 長野県出身 伊豆の国市在住
2003年 鷹入会 藤田湘子に師事
2005年 鷹同人
2005年 藤田湘子逝去により、小川軽舟に師事
2008年 第48回静岡県芸術祭賞(俳句部門)受賞
2011年 第1回静岡県俳句文学賞受賞
2015年 句集『草笛』(私家版)
2018年 鷹五人会賞受賞「愛鷹の会」にて
俳人協会会員、現代俳句協会会員

ミニ・アンケート

◆好きな食べ物:刺身、餅、味噌汁、玉子かけご飯、林檎、蜜柑
◆好きな飲み物:日本酒、抹茶、珈琲
◆カラオケでよく歌う曲:「旅人よ」「ふれあい」「熱き心に」「竹とんぼ」「青葉城恋唄」「少年時代」「裏町酒場」ビートルズの曲、その他
◆趣味:陶芸、水泳、囲碁、温泉巡り
◆自分を動物に譬えると:ひつじ
◆長所:臨機応変
◆短所:軽はずみなところ、早合点

人物評 甲斐正大

 文明さんは趣味の人である。自家に窯を持つ陶芸、日本水連1級を認められている水泳、日本棋院有段の囲碁。いずれも玄人跣の腕前であるが、中でも特筆すべきは墨書の実力。先頃出版された句集『草笛』はその全438句がご自身の筆による見事な手書きなのである。こういう句集を私は他に見たことがない。
 句材の中から読み取れるのは、第二の故郷伊豆の国に対する愛であるような気がする。明媚な風光、温暖な気候に恵まれたその土地柄が彼の生活に馴染み、心の糧となっているようである。藝に游びながら、独自の俳句を更に厳しく追及している文明さんの、次の境地に期待したい。
 自作の陶の盃に美酒を満たして、今夜も彼の至福の時間が始まる。

自選十五句

初富士や雲一片も寄せつけず

激ちゆく天城の水も温みけり

力ぬくこともおぼえてうぐひすは

樹の下に立ちて素直や鳥の恋

信濃にて信濃の訛青き踏む

川砂の灼け少年の白日夢

六月の光の中の金盥

草笛を妻も吹きたる遠出かな

郷関を出でて幾年水を打つ

二学期の一時間目の物理かな

花野ゆく老い刻々と鮮しき

秋蝶の触れて真赤なポルシェかな

ぐい吞は大振りの志野燗熱く

ゴドー待つ宇野重吉の鬼火かな

本閉ぢてことば響けり冬の星

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