新人賞受賞作品

第49回 鷹新人賞作品

山田友樹

秋の蝶ガラスのビルに弾かれし

月光や革靴に踏む石畳

谷底に昼は短し濃竜胆

沸くやうな雑沓の声銀杏散る

ストーブの前に項垂れ夜明待つ

マスクしてヘッドホンして聖歌聴く

太陽は火球聖堂暗く冴ゆ

大寒の始発列車の軋みかな

ポケットに半開きの掌水温む

春深く庭に朱欒の実のひとつ

逃水を追へば足元から砂漠

砂つぽき郊外の風鯉のぼり

まなうらに滝の残像鳴りやまず

雨音の絡む網戸や少し寝る

野良犬に放る名前や晩夏光