鷹俳句賞受賞作品

第54回 鷹俳句賞作品

志賀佳世子

灯涼し屛風に展く東山

書斎いま水底に似て月を待つ

野分だつ書肆整然と灯りをり

ヘヴンリーブルーこの朝顔の種ぞ欲し

赤門に入る銀杏を拾ふため

菩提寺の萩の盛りに遅れけり

返り花夫の多弁をいぶかしむ

香炷きてひと日身に添ふ時雨かな

大寒や塀の外行く人の声

電子辞書ひらけば点る枯野かな

下足札への六亀の鳴きにけり

母とうたふ母知るかぎり春の唄

春寒く水に竹散る日なりけり

ペースメーカー夫に働くさくらかな

沙翁全集欠けず菜の花蝶と化す

長子遠しアスパラガスをさつと茹で

素袷や胸より痩せのはじまりぬ

エプロンに摘みし絹莢すぐ使ふ

シスターへ毬がころがりみどりの日

蝶々夫人春の真昼の遠眼鏡