鷹俳句賞受賞作品
第61回 鷹俳句賞
三代寿美代
香水の封切る[{繋縛}(けばく)}]始まれり
くちなしの花や都会の雨すんと
蠛蠓に突つ込まないと帰れない
ぷうと鳴る椅子にくまさん夏休
持たされて恐し無傷の水蜜桃
片翅が風の言ひなり秋の蟬
今もつて熟柿喰ふとき及び腰
刈り上げし首筋ぞぞぞ冬に入る
摘出のモノにも過程冴返る
すぐ乾くくちびるバレンタインデー
はじめての長靴春泥にはしやぐ
誰の出迎へもなく蛇穴を出づ
青饅と猪口とほどよき間柄
蝌蚪に足弱者全員待つたなし
花守にしかわからない息づかひ
更衣これはまだ着るこれも着る
萍の花柵を越えて咲く
病巣に骨身に暑さめり込めり
保身の白靴片つぽすつぽ抜け
この先も私を生きる浮いて来い