鷹の俳人

帆刈夕木(ほかりゆき)

帆刈夕木(ほかりゆき)

1965年2月生まれ、新潟市出身、東京都大田区在住
1990年 「鷹」新人スクール入学(第1期生)
1992年 新人スクール卒業と同時に「鷹」入会
1996年 「鷹」同人
2016年 句集『干潟の時間』
俳人協会会員

ミニ・アンケート

◆俳句以外の趣味:歌舞伎を観ること、最近はご無沙汰に
◆好きな食べ物:酢の物、果物、漬物
◆長所:思い当たらず、短所:短気
◆動物に喩えると:コアラ、すぐ寝てしまうという意味で
◆苦手なもの:蛇、巳年だが最も出遭いたくないもののひとつ

人物評 山田紗由美

 夕木さんとの出会いは鷹の大阪新人会。当時の新人会は新人賞対象年代の若手育成のための指導句会だ。第一印象は清楚で控えめ、だが句会では凛々しく考えを述べる信念のある人。その頃既に同人であり、第二次鷹の柱となる五人会の誕生期には、登録業務などのお手伝いもされたという。
 十数年後、帰京した折に紹介された、都心で休日開催の五人会「みたかい」の世話役が夕木さんと知り、思わず胸が躍った!
 今は仕事と介護に多忙な日々だが、「みたかい」のお世話も欠かさない。平日は仕事、週末は新潟の実家に帰り、新潟から句会場に駆けつける日も増えた。それでも仲間から受ける刺激を自らの力に変えているという夕木さん。
 <思はざる人の献身冬紅葉>は、目立たぬ炎の夕木さんご自身のことではないのか。

自選十五句

夏期講座大仏殿に集合す

台詞冴ゆ舞台は椅子の二つきり

われと古る百科事典や夜の秋

火の気なき歌舞練場や桃の花

鉄棒の下のぬかるみ今朝の冬

黒板の歌詞にうたへり聖五月

雀らにけふの糧あり草の絮

芝に影落として秋の行きにけり

いそしみて干潟の時間雲移る

まだ働くつもりの靴やクロッカス

テレワーク蟬声を締め出してより

月涼し虚子待ちわびし子規の庭

朝霧や杉つ葉に熾燻れる

思はざる人の献身冬紅葉

日曜の社宅の庭や蝶生る

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