鷹の俳人
山田陽子(やまだようこ)
1924年11月 山形県生まれ 仙台育ち、沼津市在住
1980年 鷹入会 藤田湘子に師事
1986年 鷹同人
1996年 句集『柚の花』上梓
2009年 鷹新葉賞
ミニ・アンケート
◆趣味:絵画
◆好きな食べ物:アスパラガス
◆長所:温和 短所:数字に弱い
◆好きな映画:「ローマの休日」
◆苦手なもの:爬虫類
人物評 菊池ひろ子
陽子さんの言葉遣いはとても美しい。それはそのまま陽子さんの暮し振りを現している。所作はもとより、人・もの・こと、あらゆるものをいとおしみ、誠実に向き合い、五感で受け止め表出したものが陽子さんの句である。
湘子先生は、陽子さんの句集『柚の花』の讃で「陽子さんは、なにが俳句でどれが通俗であるかという直感力が確かである。やわらかくやさしい印象は人柄の反映であろうが、背景には香気が流れ、しかも俳句に欠かせない鋭い眼をもっている」と称えられた。
百歳を目前にして、真摯に生と向き合い、益々意欲的に俳句に取り組むお姿は実にチャーミングであり、後輩たちの憧れであり、目標となっている。
自選十五句
白萩やいつも新湯の乾き蓋
綿虫が引ききし青きしじまなる
一色の沖を見てゐる花疲れ
木の枝と同じ思ひの日向ぼこ
桐の箱開けば歌留多こぼれ落つ
八月の山へ開きて非常口
プールより出て別人となりにけり
手折りたる野菊のほかは持たざりし
茎立や逝きて経歴つまびらか
八十翁きちきちばつたとも親し
春寒やわが思考また回遊魚
煙突の根元は淋し花なづな
お暇とせり片陰の出来る頃
馬鹿言ひて淋しくなりぬ蠅叩
笊干せばすぐ親しげに冬の蝶