鷹の俳人

野本京(のもときょう)

野本京(のもときょう)

1951年 高知県生まれ 高知市在住
1981年 鷹入会 藤田湘子に師事
1983年 第12回鷹新人賞
1984年 鷹同人
1991年 句集『わたしがゐてもゐなくても』
現代俳句協会会員

ミニ・アンケート

◆趣味:妄想、ヨガ、茶道、グレングールドのピアノ曲鑑賞
◆長所:想像力、集中力 短所:空想癖、自己中心
◆自分を動物に喩えると:ペンギン
◆好きな映画:「風と共に去りぬ」
◆カラオケでよく歌う曲:「悲しい酒」「天城越え」
◆苦手なもの:カップラーメン(3分待てない女と言われている)

人物評 岡本雅洸

 あれは確か昭和50年代半ばか、「どこか花のあるひとだなあ」と思ったのが京さんに会った時の第一印象であった。今もその印象は褪せない。私が「鷹」の高知句会に初めて参加した頃、京さんは既に句会の中心的存在で活発な会のムードメーカーであり世話役でもあった。
 一見細身でか弱そうな見かけによらず軽やかな行動力と共に、したたかで大胆な言動に出ることもあるが、それ無くして一癖も二癖もある連中の句会の世話役はできない。また土佐で言う「はちきん」的な一面もあって、そこが京さんの皆に親しまれるところでもある。
 「はちきん」とは向こう見ずで男勝り、少し跳ね上がりの土佐の元気な女性を一種の親愛をこめて評する方言で、これも京さんの一つの花である。

自選十五句

霾りて墓標のごとく忘らるる

白鳥の首を猥らとそしりけり

愛憎や熟柿押したる指の先

鳩尾に触れてかそけき縮かな

かひやぐら蛤はいま睦みゐる

父の背の脂の匂ひ土用浪

散るさくらわたしがゐてもゐなくても

夢いつも叫びてをはる扇風機

花火の夜殺むるほどは愛すまじ

老のもの干す目出たさよ花辛夷

亡きあとに生きてしあれば花疲れ

独房のごとく仰ぎぬ雲の峰

こんな日にあなたがゐないせりなづな

指先は鶴折りたがる日向ぼこ

もういちど自由にならうもがり笛

他のページを見る