鷹の俳人
吉村東甫(よしむらとうほ)
1931年 奈良県生まれ 東京都在住
1996年 NHK学園の洋上俳句講座(於:にっぽん丸)講師:上田五千石
その後、「畦」入会
1997年 上田五千石逝去、「畦」退会
1998年 「鷹」入会
2005年 「鷹」同人
2019年 新葉賞受賞
俳人協会会員
ミニ・アンケート
◆俳句以外の趣味:山歩き・街道歩き 山歩(さんぽ)会(元職場仲間と月一回)
東海自然歩道、中山道を踏破 奥の細道、熊野古道はほぼ完歩
読書 中国古典文学(史記、三国志演義、水滸伝、紅楼夢など)
文楽、能楽鑑賞 映画(西部劇)
スポーツ 野球(高校、大学時代に野球部でエース)
◆愛唱歌:夜来香、何日君再来
人物評 奥坂まや
「鶴髪に相応ふ鶴痩初湯殿」 新葉賞を受賞された際、選考委員絶賛の作品。席題句会でこの句を目にした時、すぐに東甫さんに違いないと思った。もちろん選句の時点では作者は不明なのだが、一句に込められた気宇の輝きと、漢語の自在な使用から、そう確信した。
東甫さんは、大会社の副社長を務められたのにふさわしい、壮大な気宇を蔵しておられる。大阪外語大では中国語専攻、漢語とのお付き合いは筋金入りだ。
高校時代はエースのピッチャーとして大会でも優勝した腕前。文武両道に優れて、卒寿を超えた現在まで、溌溂とした精神は衰えない。
奥様の速見綾子さんの誘いで俳句を始めたことでも分かるように大の愛妻家で、吟行でもいつも一緒。偕老同穴のお手本のようなご夫妻は、皆の憧れでもある。
自選十五句
寒山拾得すててこの吾を笑ひをり
メーデーや木綿靴下
下萌やわが七十の影でこぼこ
八荒の波の尖りや巫女秋沙
双塔を小さく望めるさくらかな
川に沿ふ白壁の家桐咲けり
卓然と朝の大気や白芙蓉
炎天の黙禱に身の揺らぎけり
螽斯鳴くや弾痕しるき鉄兜
擂粉木の先の丸みや道元忌
みんみんの終のみーんやわが余生
病室を
滝壺を出でて緩流冬紅葉
山凍つる風倒木を寸胴切
鶴髪に相応ふ鶴痩初湯殿