鷹の俳人
杉崎せつ(すぎざきせつ)
1949年 横浜市出身 小田原市在住
1985年 鷹入会
1988年 鷹同人
俳人協会会員
ミニ・アンケート
◆趣味:水彩画、カラオケ
◆好きな食べ物:嫌いなものがない
◆長所と短所:(他人評)のんびり屋、クール、慌てたりイラついたりしているところをみたことがない
5分、10分は遅刻ではないと思っている(短所)
◆自分を動物に喩えると:ナマケモノ
◆好きな映画:「ウエストサイド物語」
◆カラオケでよく歌う曲:「恋におちて」
◆苦手なもの:虫、特に蜘蛛
人物評 大井さち子
せつさんと言えば次の2句を挙げたい。「吹奏楽団起立五月のスタジアム」「初秋の少女素数のやうにをり」1句目、五月の明るい青空の下、金管楽器を手に起立!これから繰り広げられる試合を前に応援団として高揚したそれぞれの顔が並ぶ。2句目、若者にありがちな自意識ゆえの孤独な少女。この静かな存在が「素数のやうに」という表現によって美しく立ち上がる。2句に共通するのはそこにせつさんがいるということ。楽器を持ってグラウンドを見つめる少女も、素数のように静かにたたずむ少女も、どちらもせつさんであるということ。絵空事ではなく、一句の中に自分を落とし込んで描いているのだと思う。
今年、せつさんは新たな五人会を立ち上げた。ココロボという名のメール句会。会うということは大切なこと。だがそれが叶わない場合でもメールなら通じ合える、切磋琢磨し合える。杉崎せつはヤル気である。
自選十五句
門川の小橋に猫やお元日
骨壺に全き晴の三ケ日
あやとりのぶんぶくちやがまねむくなる
吹かれ飛ぶ藁の燃止しいぬふぐり
蝌蚪の紐貧乏くさく重なれり
吹奏楽団起立五月のスタジアム
化野のできごと蛇の轢死せり
氷旗太陽海を若うせり
女教師の連れの男のサングラス
風光るサーフショップのドアの鈴
不景気といふも太りぬ冷し酒
初秋の少女素数のやうにをり
猫が貌洗ふ風鈴しまはむか
からつぽの頭にあたり青ふくべ
箸立に家族の構図小晦日