鷹の俳人

竹岡一郎(たけおかいちろう)

竹岡一郎(たけおかいちろう)

1963年8月大阪市生まれ 大阪府吹田市在住
1992年 鷹入会、鷹新人スクール二期生
1993年 鷹エッセイ賞
1994年 鷹新人賞 同年、同人
2006年 鷹俳句賞
2009年 鷹月光集同人
2011年 第一句集『蜂の巣マシンガン』
2014年 現代俳句評論賞「攝津幸彦、その戦争詠の二重性」
2015年 第二句集『ふるさとのはつこひ』
2018年 第三句集『けものの苗』
俳人協会会員、現代俳句協会会員
NHKカルチャー梅田教室講師

ミニ・アンケート

◆好きな食べ物:米、焼鮭、味噌汁、漬物
◆自分を動物に喩えると:狐 
◆好きな映画:「東海道四谷怪談」(中川信夫監督)、「けいおん!」(山田尚子監督)
◆苦手なもの:白身魚と海藻類を除く海産物全て(見たり触ったりは好きだが、アレルギーで食べられない)

人物評 石原由貴子

 平成11年、中央例会・大阪(現関西中央例会)がスタートした頃発足した大阪新人会で顔を合わせてから、もう20年以上になる。その時すでに鷹エッセイ賞や、鷹新人賞を受賞。俳句初心者には近寄り難い存在であった事を昨日のように思い出される。
 その一郎ワールドは俳句以外にも遺憾なく発揮され「音楽は生きるのに不可欠のもの」。自身の句会では、音楽を聴きながら席題をこなす。バッハやベートーヴェンのピアノ曲、ある時はタンゴのピアソラ、ロックだとレインボーやアイアンメイデンなどが一郎さん一押しの曲。日頃は優しい父親であるが、こと俳句に入り込めば、自分自身を天空に解き放ち、想いを十七文字に凝縮させるのが一郎さんである。

自選十五句

廃校が音喰ふ昼を春の下駄

ひまはりの哄笑を聴けかつ戦へ

老兵が草笛捨てて歩き出す

ふるさとの朽ちてより瀧光り出す

焦螟を戒厳令下の街に殖やす

踊るならあたしの鱗お守りに

人間の香が天に沁む敗戦日

墓洗ふ「つや十七」とかすれしを

ミサイルの光と知らず草ひばり

邯鄲落とせば空井戸少し湧くかしら

トランクはヴィトン家出は雁の頃

南朝の皇女なりしが雪女

ふさふさの尾が火事跡の金庫から

すき焼に戦後の夢が煮詰まりぬ

あたしのくしやみで文明畢るけど

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