新人賞受賞作品

第54回 鷹新人賞作品

作田きみどり

滾滾と雑木林に淑気満つ

傀儡詰めしボストンバッグ枯野行く

人とゐて甘いもの食ふ雨水かな

渡さるる風船を咄嗟に拒む

ぬひぐるみ群れさせひとり春の暮

囀や文字片満つるシュレッダー

雲に見る高空の風キャベツ巻く

母の日や魚にほのと鼻の穴

鼻歌はスーパーの曲柿若葉

胆石の飾られてゐる帰省かな

扇風機あらららららら、ららと止む

頭蓋骨ほどの茸が側溝に

むくの群何欲る夕日混ぜ返し

栗拾ふ家族と家族混ざり合ふ

冬枯や駆けて来る子を抱き上ぐる

鷹新人賞準賞作品

加藤ゆめこ

一卓に一灯垂れて蔦青葉

割り込みぬ泡の消えたるビール手に

星涼し復職の日の夜の素麺

びたびたと走る二歳の跣足なり

Tシャツで鼻の汗拭く休暇かな

遠目にも暑し暑しと君の口

手を挙げてマイク貰ひぬ雲の峰

エンジンを切つて子を待つちちろかな

エレベーターに落葉が少し本社ビル

工場の保育所燦とクリスマス

聖夜なり仕事机に子の写真

会議まづ安全唱和初暦

くたくたの作業着柔し苜蓿

蟻は浮きミニカー沈むバケツなり

母の日の母のひとりの時間かな