鷹の俳人
山地春眠子(やまじしゅんみんし)
1935年 東京生まれ
1975年 東京義仲寺連句会入会
1976年 鷹俳句会入会
1978年 『現代連句入門』刊 鷹新人賞受賞
1982年 鷹編集部員となる 第一句集『空気』刊
1986年 鷹編集部副部長となる
1987年 連句グループ「草門会」結成
1988年 鷹当月集(現月光集)同人となる
2002年 鷹編集部員を辞す
2005年 鷹俳句賞受賞
2009年 第二句集『元日』刊
2015年 『月光の象番―飯島晴子の世界-』刊
2019年 『「鷹」と名付けて―草創期クロニクル―』刊
現代俳句協会会員 連句協会会員
ミニ・アンケート
◆趣味:囲碁(へっぽこ初段)
◆好きな食べ物:カワハギの肝和え
◆好きな映画:「ヘッドライト」(フランソワーズ・アルヌール)
◆苦手なもの:ピーマン パプリカ
人物評 奥坂まや
春眠子さんは、鷹きっての言葉の冒険者だ。その探究は、現代語はもちろんのこと、古語から漢語・フランス語などの西欧の言葉等、とどまる所をしらない。飯島晴子さんが、言葉の底を抉るような、いわば垂直軸の追求者であったのに対し、春眠子さんは水平軸の狩人。高浜虚子は山口誓子を「辺境に鉾を進むる」「征虜大将軍」と評したが、鷹の征虜大将軍は間違いなく春眠子さんだろう。
春眠子さんは深く「鷹」を愛している。仕事の関係で長野在住だった小澤實編集長の時代、副編集長として実務を担い、自らも「週刊新潮」の編集者として超苛酷な忙しさのなか、鷹の事務所で夜中まで校正に励む姿は感動的だった。
酒席では談論風発、つい飲み過ぎての武勇伝にも事欠かず、鷹裏面史でも勇名を轟かせている。
自選十五句
フランソワーズのさふらんの芽と歯ぶらしと
氷鳴る逃亡兵のごとく鳴る
酢のごとく夕焼けたり主よマズルカを
いつせいに刈田の燃ゆる近江かな
轣轆と蟬の蛻の鳴ることを
信長忌自転車をばらばらにする
死際の顎ぬくとしやお元日
妙齢にしてごきぶりを
しやがみ餓鬼臍まで灼けて群れゐたる
古田螺
若冲の鶏
蟻穴を出でてウイノンウイノンノン
関東平野
思ひ出したやうに蚊を打つ女かな
だいだらぼつち駆けたる山や紅葉散る